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彼女が彼にある所に連れて行くということで外に出た。南大通りを北上しているのだから少なくとも中央にまでは行くだろうとユウキは判断した。彼女の後ろをとぼとぼと彼は歩ているのだが、彼女の歩くスピードは普通ではなく、ゆっくり歩いていたのならすぐさま置いて行かれてしまうほどのものだった。
「おい」
「私は『おい』じゃないです」
「んなことよりも、まず名乗れ」
彼女の黒のマントはこういう場所では目立ちたくなくとも目立ってしまう。王都の地面はさまざまな彩色のレンガで作られていて、舗装する技術は昔より格段に進歩していた。そのレンガの色は黒系がなく、赤や青、大通りなんかは白色を使っているのである。そのため彼女のマントは一際目立ってしょうがない。
彼女は立ち止まって、そのマントを翻して言ってきた。
「ラミア・レルカムヌよ」
「レルカムヌ?」
上の名より下の名の方が気になった。人と人のつながりを示している名のほうに。
頭に何か引っかかるような気がした。聞いたことのあるようで聞いたことのないような。それでいて、何か不吉な予感が漂っている――。
彼女はまた前に向きなおして歩き始めてる。追うようにユウキは歩き始めた。
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