‡プロローグ‡

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 今、一言でも口を開くと、自分までとばっちりをくってしまう。  ユウを助けるには、幼すぎる裕紀はあまりに無力だった。  男が、ユウをねめつけるように見下ろす。  とても、正気とは思えない形相だ。  ユウは心底怯えきっていたが、か細い声で呪文を唱えるように呟いた。 「おうちにかえりたい・・・・・・」  その呟きを聞き、男の表情がさらに歪んだ。  だが、今度は叩いたりしなかった。
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