邂逅

13/13

837人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
スズランは外に出た。 扉に鍵を閉め、空を見上げる。 「(暗いなぁ…星も月も出てないや…)」 夜を照らす光は無い。 スズランはフライヤーを発動させて、魔力光で辺りを照らした。 「こんばんは、軍人さん」 「ひゃ!?」 不意に話しかけられてスズランは変な声をあげる。声のするほうに振り向くと男性が立っていた。 温和そうな黒い髪と瞳の男性だ。 「こ、こんばんは…」 「暗いですね、今日は…」 「そ、そうですね…」 「月と星の光さえ無いですね… ここにある光はあなたのフライヤーの魔力光だけだ…」 「(え…?この人…?)」 スズランはこちらに向いている瞳と笑顔に違和感を感じた。 何か…どこか見た事のある瞳と…どこか他の人と違う笑顔に… 「ねぇ、軍人さん?」 「あ…はい、何でしょう?」 再び向けられたその笑顔に違和感を感じながらスズランは応える。 そして男性は…こう投げかけた。 「あなたの空は…何色ですか?」 そして、この二人の出会いが… 三つの連合国…世界を…空を揺るがす大事件の火蓋をきった。
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!

837人が本棚に入れています
本棚に追加