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スズランは外に出た。
扉に鍵を閉め、空を見上げる。
「(暗いなぁ…星も月も出てないや…)」
夜を照らす光は無い。
スズランはフライヤーを発動させて、魔力光で辺りを照らした。
「こんばんは、軍人さん」
「ひゃ!?」
不意に話しかけられてスズランは変な声をあげる。声のするほうに振り向くと男性が立っていた。
温和そうな黒い髪と瞳の男性だ。
「こ、こんばんは…」
「暗いですね、今日は…」
「そ、そうですね…」
「月と星の光さえ無いですね…
ここにある光はあなたのフライヤーの魔力光だけだ…」
「(え…?この人…?)」
スズランはこちらに向いている瞳と笑顔に違和感を感じた。
何か…どこか見た事のある瞳と…どこか他の人と違う笑顔に…
「ねぇ、軍人さん?」
「あ…はい、何でしょう?」
再び向けられたその笑顔に違和感を感じながらスズランは応える。
そして男性は…こう投げかけた。
「あなたの空は…何色ですか?」
そして、この二人の出会いが…
三つの連合国…世界を…空を揺るがす大事件の火蓋をきった。
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