巫女と贄

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「……」 「どうだ?あの【巫女】は?」 スズランのいる部屋から男性が出て来ると、トールが目の前に立っていた。 「トールさんの言っていた通りでしたよ、仲間の死を伝えた時に確信が持てました」 「やはり、欠陥があったか…」 トールは口元でにやりと笑った。 「ええ、やはり彼女は『拠り所となる人物がいないと自己を保てない』…他人に依存してようやく自己を保てるようです」 「家族を消され…第三空隊を消され…拠り所となる者が全て消された今…次に拠り所とするのは誰になるかな?」 「【闇贄】の僕にその役をやれって言うんですから…ひどい人だ…」 「『スターライトプロジェクト』を成功させる為ならば…どんな事でもするさ…」 トールはそう言って振り返り、通路の脇にある扉から出ていった。 「幼い頃に最初の家族を失ったのがそもそもの原因か…悲しいな…【光巫女】…」
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