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-光の部屋-
「この本も面白いですね…」
第三空隊襲撃から五日…全てが白いこの部屋でスズランは楽しそうに本をめくっていた。
「そうかい?ならここに置いていく事にするよ、僕はもう読んでしまったからね」
「本当ですか?ありがとうございます!」
嬉しそうにスズランが黒の男性に笑顔を向ける。
「毎日来てくださってありがとうございます…あなたのおかげで毎日が凄く楽しい!」
「そうかい?僕も嬉しいよ。
(早い…こうもあっさり今までの事を忘れて…いや、記憶の奥底にしまい込んでいる…)」
「そういえばこんなに一緒にいるのに名前を聞いてませんでしたね、聞かせてもらえます?」
「……」
無垢な笑顔を向けられながら名前を聞かれ、男性は止まる。
だが、すぐに笑みを浮かべその問いに答えた。
「僕は…僕の名前は…【ユメ】…
名前の通り…夢の為の人間さ…」
儚げな笑顔を浮かべながらユメと名乗った男性を見て、スズランは目を見開きながら止まった。
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