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「友…達…」
シオンはスズランの答えを待つ。
スズランの頭の中には誰かわからない五つの顔と見知った人間のユメの姿。
「ユメ…さん…」
(違うよ、スズラン…私は『縋る人』の事は聞いてない…友達の名前を…あなたの仲間の名前を教えてほしいんだ)
「仲…間…」
(思い出してごらん、大丈夫、怖がらないで…)
「うっ…!」
(スズラン!)
「痛い…!痛い…!」
スズランは顔を歪ませて頭を抱え込む。
「何…これ…!」
(痛くても…苦しくても…乗り越えて、スズラン!思い出すんだ、ここに来る前の事を!)
「あ…!あああああああ!!」
(辛い事から逃げる為に楽しい思い出まで消しちゃうなんて絶対駄目だ!)
「あ…!」
瞬間、スズランの体中に魔力が、頭の中に記憶が駆け巡った
コンコン、というノックの音に続いてガチャ、と扉の開く音と共にユメが部屋の中に入る。
「来たよ、本は…」
入った瞬間、ベットの上で虚ろな眼をしているスズランの姿が目に入ってきた。
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