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「はぁ…!はぁ…!」
「やられた…」
エリスのクリスタルが基本の形態である氷型に戻る。
今の一撃で完全に魔力が切れたらしい。
「あ~…やっぱりか~…何か嫌な予感はしたんだよね~…」
「クリスタルの基本形態は『氷』…本当に私が気絶していたら…クリスタルに伝わる私の魔力が途切れて…氷に戻る…」
「あえて剣の形にせずに液体化した刀身をばらつかせて油断を誘ったと同時にすぐに装置を斬れる長さまでにしたんだね…」
斬られた装置から小さな爆発とともに火があがる。
アイムは立ち上がり、エリスの顔を覗き込んだ。
「でも、破壊した後はどうする気だったの?装置はこれから爆発しちゃうし、敵である私もいるよ?
動けない体でどう乗り切る気?」
アイムがそう聞くと、エリスは微笑んだ。
「私に与えられた任務の最大の目的は『システムの破壊』…
破壊した後の事は考えていませんでしたよ…万が一あなたに勝てたとしても、私には装置を破壊できる魔力は残らなかった…後はあなたの好きなようにして下さい…」
「……」
それを聞いたアイムはにこっと笑ってエリスの腕を自分の肩にまわして立ち上がらせた。
「え…?」
「私がトールから言われた任務は『ウラヌスシステムの防衛』…システムを破壊されたんじゃ、私が防衛するものは無くなっちゃったわけだし…後は私の好きなように動くよ…!
私の気に入ったやつを助ける、とかね!」
動けない自分を引きずりながら出口へと向かおうとするアイムを見て、エリスは小さく笑った。
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