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-光の部屋-
「……」
ガチャリ、と扉が開く。
ユメはその音に気づき、振り返った。
「お前が【闇贄】か…名は?」
「ユメと申します…光栄ですね、あのソルに会えるなんて…」
「スズランを覚醒させたのも…ここから逃がしたのもお前か…?」
ユメは首を振り、否定する。
そして破壊された壁の外に視線を戻した。
「僕は少し背中を押しただけですよ…飛んだのは彼女です…
『夢』の中での偽りの幸せよりも彼女は『空』を選んだ…それだけです…」
「お前が背中を押したおかげであいつは飛んだんだ…礼を言う…『シオン』も喜ぶだろう…」
「シオン…前の『光巫女』でしたね…」
「ああ、あいつも『夢』を捨て…オレを生かす事を選んだ…この『光の部屋』でな…」
ソルは部屋の中心にしゃがみ込み、床に手を置いた。
「その場所で…?」
「ああ、死んだよ…」
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