闇VS雷

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「『スターライトプロジェクト』は星の魔力を全て【光巫女】に集め世界中に放出することで膨大な魔力を及ぼす…だが、それ以降、星から魔力が降り注ぐ事は無くなる」 「また星に魔力が溜まるわけでは…」 「星は生物じゃない…星からは魔力を奪うと、魔力を回復させる為の魔力も奪い取る事になるんだ。 それに仮にそんな問題が無かったとしてもこの世界は変わらないさ…世界はまたその膨大な魔力を巡って戦争を始める…人は欲深い…あればあるほどそれを求めるよ…」 トールは俯いてあた顔を上げ、ミョルニルを構えた。 「お前が羨ましいよ、ソル…」 「そうか」 「お前みたいにもっと冷静に物事を見つめる事が出来ていれば…私ももっと違う方法をとれただろうに…」 「方法は間違っていたが…お前の考えは正しいさ…戦争を終わらせたいと思う人間は大勢いる…」 ソルもイヴを構える。 「お前には敵わないな…」 トールはそう言った瞬間、ソルに向かって突っ込んだ。 「まだ誇りは残ってたか…」 強い者に情けはかけない。 それは誇りを踏みにじる事。 「終わりにしようか!ソル!! 一夜だけの茶番劇を!!」 自分の行いが間違っていたと気付いても、決して戦いからは逃げない。逃げたくない。 「そうだよな、逃げたらもっと大切なものを失う…だからこそ全力で迎え撃つ!!」 その攻撃に容赦無し。イヴの刃はトールの体を斬り裂いた。 ドポン! そしてフライヤーと魔力核のリンクが消え、トールの体は海に落ちた。 それをソルは静かに見送る… 《私…》 しばらくの沈黙の後、イヴが声を発した。 《男ってわかんないわ…》 「…わからなくていいさ……お前は女なんだから…」 《そう?》 「ああ…血は?」 《そんな気分じゃないわ》 ソルはイヴに付いた血を払い、鞘に納めた。 「さあ、帰ろうか…」
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