募る、膨らむ

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「で、アイツから連絡は?」 「アイツ・・・?あ、多川さん? いえ、全くないです。 橘さんの脅しがきいたんですかね?」 「あんなの脅しでも何でもねぇよ。ま、でも諦めてくれたんなら良かった。」 「はい。」 「っし。じゃ、俺帰るわ。 ありがとうございました、ご馳走さまでしたって、お母さん達にもっかい言っといて?」 「えっ!?・・・いや、駅まで送りますよ!」 「いいって。もう遅ぇし、帰り危なくなるし。」 「いや!お送りします!」 「・・・変な奴。」 好きだと自覚した途端、1分1秒でも一緒にいたくなる。 人を好きになるって、こんな感じだったっけ? 頭の隅でそんな事を考えながら、フッと笑って駅の方へ歩き出した橘さんの背中を、早足で追いかけた。
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