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消火されたストーブからは、ユラユラと灯油の匂いが立ち込めていた。
寒い冬の夜。
歯を磨き終えた宗太郎は、部屋の隅に置かれているシングルベッドの上で、横になっていた。
いつでも眠れる状況に入っているが、彼はまだ部屋の照明を消していない。
(もうすぐだ…)
時計で確認しなくても、宗太郎には今の時間が分かった。
なぜならば、あと数分で午前0時になるからだ。
今月に入ってから毎日だった。決まって午前0時に携帯電話の着信音が鳴る。
電話を取ると女の声で、
『約束…覚えてる…?』
という内容を告げた後、通話を切られるのだ。
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