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大学の冬休みは意外と短い。
冬休みが終わればすぐに試験だから、遊んでる暇はない。
だが、俺は例年の如く居酒屋のバイトの予定がビッシリと入っていた。
「千葉、この日も出れるか?」
店長がシフト表を眺め、指を差した。
「えっと…すみません。
その日はちょっと…」
「あれ?お前でも大晦日はやっぱりダメか?」
「すみません…」
俺は恐縮して頭を下げた。
バイトの分際で一番多忙な時期に休みたいなんて、やっぱりワガママだよな。
そう思い直し、「やっぱり出ます」と口を開きかけた。
「しょうがないな…千葉にはいつも出てもらってるからな。他当たるよ。
たまには彼女に千葉をやらないとな」
「あの…」
店長は俺の言葉をかき消し、一人で納得すると、店内へと戻っていく。
「……」
残された俺は小さくため息をついた。
店長は良い人なんだけど、思い込みが激しくて困る。
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