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「楓っ!」
思わず、最悪の自体が頭をよぎる。
楓は俺の腕の中で少しだけ苦しそうに眉を寄せて、寝息を立てていた。
「よかった…」
楓は発作持ちで精神的に不安定になると、たまに倒れる事があるのだ。
俺は男にしては細い体を抱き上げ、寝室へ連れて行く。
楓がウチに泊まるようになってから買い換えたダブルベッドへ、静かにその体を降ろした。
冷や汗で額に張り付いた髪を掬い上げてやると、楓は微かに身じろいだ。
「楓…お前を苦しめてるのは何だ…?」
いつも不安や心配事があると、、倒れるように眠ってしまう楓。
それは家庭の事だったり友人関係が原因だったりするけれども。
今回は何が原因だろう。
俺は楓の柔らかな髪を手ですき、額にキスを落とした。
俺の隣にいる時だけでも、安心して眠って欲しいと切に願った。
『冬休み』end…
『雪見酒』へ続く…
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