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楓の全てが愛おしくて。
大切な存在なのに、嫌いになんてなるはずがない。
「俺ね…」
楓の柔らかな声が、沈黙の部屋に静かに落ちた。
「…ゲイなんだ…」
顔を歪めて、苦しそうに告げる楓。
俺はその告白に驚きすぎて、言葉が出てこなかった。
楓がゲイ…!?
「驚いたよね?」
「え…いや…まぁ…。
俺にとっては好都合というか…」
楓が男性同士に対して嫌悪感がないのなら、俺の想いを告白しても良いのかもしれない。
「俺…楓の事が好きだ」
「え…?」
勢い、俺の口は止まらなくなった。
「ずっと好きだった…!
でも勇気がなくて。楓は男からそういう目で見られてきたから、男が苦手だと思ってた」
「……」
沈黙が部屋に満ちる。
「楓?」
耐えきれなくなって、声をかけると、楓が抱きついてきた。
フワリと俺の好きな楓の香りが、鼻孔を掠める。
「…嬉しい。俺もずっと好きだった」
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