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楓が潤んだ瞳で俺を見る。
長いまつげ、色素が薄い髪、可愛らしい仕草。
そのどれもが今、ゆっくりと初恋の人のそれと重なる。
「本当に?
本当に先輩があのお兄ちゃんなの?」
「あぁ。きっとそうだ。
お前も俺の初恋の人に似てるんだ」
感激に胸が震えて伝えたい言葉の半分も伝えられない。
俺はもどかしい気持ちで、黙ったままの楓を引き寄せた。
「え…?」
そのまま座敷の上にゆっくりと横たえる。
「キスしてもいいか…?」
「…うん…」
緊張と興奮で喉が鳴った。
楓の滑らかな頬に手を添え、ゆっくりと顔を近づける。
楓も緊張してるせいか、触れた頬は冷たかった。
「寒い?」
唇が触れ合う距離で囁くと、楓は小さく首を振った。
「ー…っ」
その仕草によりお互いの唇が、一瞬触れ合うと俺の理性ははじけた。
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