マフラー

3/7
83人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
 居酒屋を出たサークルの面々は二次会の相談を始めた。 「じゃあ俺は帰るから」  仲間と談笑している関根に声をかける。  俺には二次会に行くような、バイタリティーは持ち合わせていない。 「おぅ、じゃあな!」  長い付き合いの関根は、俺の性格を知り尽くしている。  良い意味でクール。  悪い意味で愛想のない俺は、本当に気心の知れた友人としか人付き合いが出来ない質(たち)なのだ。  俺は手を振る関根に、片手を上げて応えると、きびすを返した。  花の金曜日、軒を連ねる居酒屋からは、笑い声が絶え間なく聞こえる。  数歩進んだ所で、ふと、路地の方から言い争うような声が聞こえた。  
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!