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ギィ‥
扉が開く音がしたから振り返るとそこには風が立っていた。
「華蓮やっと見つけた。探したよ」
「風、ごめんね。龍斗がいつも見ていた景色が見たくなったんだ」
「‥‥そっか」
風はそれだけ言い、私の隣に立った。
目を閉じるとサワサワと聞こえる木々の音や、下校する生徒の声が心地よい風に乗って流れてきた。
私は長く伸びた髪を掻き上げて目を開いた。
「気持ち良いね、華蓮」
「ぅん、そうだね」
こんな短い会話でも、気まずさが感じられないのは長年一緒に居るからなんだよね。
「なんかさ、2年前は私のが髪長くて、華蓮の方が短かったよね」
「そうだね、風は髪の毛バッサリ切っちゃったもんね」
「ぅん」
そう言って微笑む風と私。
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