3年生

3/6
前へ
/112ページ
次へ
ギィ‥ 扉が開く音がしたから振り返るとそこには風が立っていた。 「華蓮やっと見つけた。探したよ」 「風、ごめんね。龍斗がいつも見ていた景色が見たくなったんだ」 「‥‥そっか」 風はそれだけ言い、私の隣に立った。 目を閉じるとサワサワと聞こえる木々の音や、下校する生徒の声が心地よい風に乗って流れてきた。 私は長く伸びた髪を掻き上げて目を開いた。 「気持ち良いね、華蓮」 「ぅん、そうだね」 こんな短い会話でも、気まずさが感じられないのは長年一緒に居るからなんだよね。 「なんかさ、2年前は私のが髪長くて、華蓮の方が短かったよね」 「そうだね、風は髪の毛バッサリ切っちゃったもんね」 「ぅん」 そう言って微笑む風と私。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1765人が本棚に入れています
本棚に追加