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「お、ツーン!」
駅前はこの雨だというのに人通りが激しく、なかなか見つけるのに苦労した。
僕が大きく手を振ってる事に気付き、壁から背を離し、こちらに歩いてきた。
「もう!いちいち叫ばなくても、携帯で呼べばいいじゃない!」
頬を真っ赤に染め、僕の肩を軽く叩いたツンは、そのまま僕の開いた傘の中に収まった。
「おっおw携帯置いて来ちゃったんだお」
「あんたねぇ………まぁいいわ、行きましょ」
そう行って二人は家路へと歩を進めた。
道中、人がまったく歩いてなかったので、ツンが無言で手を繋いでくれた。
まぁ理由はそれだけじゃないが。
「足はどう?馴れてきた?」
「まだ少し感覚が掴めてないお。階段なんかは特に難しくて転びそうになるんだお」
「そう…。まぁゆっくり馴らしていきましょ」
雨足が弱まる中、二人はたわいない話をしながらマンションへと向かった。
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