0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
戦い、の数ヶ月前。
俺は、まだ普通の高校生だった。
毎日が繰り返しの日々。退屈な人生を歩んでいた、と今でも思う。
そんな時に、ちょっとした気紛れで、ある街路の裏に入ったことが全ての始まりだった…。
「……」
無言で裏道を歩く。何かあるかも、という期待と、何もあるわけない、という諦め。
両極端な思いで、目の前の道を歩く。
地面は湿気を含んでいて、石畳なのに湿原を歩いているような妙な気分になる。
そんな気分で、しばらく歩いたときだった。
数メートル先に、一人の男が立っている。
黒いコートに身を包んだ男は、遠目に見て30前後。
人二人が通れるかどうかという通路の中央に仁王立ちしている男からは、異様、というしかない雰囲気が漂っている。
いや、男からは嫌悪感すら感じ取れる。
ピタリ、と足が止まる。奴に近づくな、と本能が身体に訴えかけているようだ。
男は依然として、立ち続けている。
最初のコメントを投稿しよう!