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「ラピッドシュートッ!」
みのりの弓が唸りをあげて氷の矢を矢継ぎ早に打ち立てて行く!
大タコへ走りよるカビビに襲いかかる触手が一つ、二つ、三つと弾け飛ぶ!
「ダークソードおおおっ!!」
カビビの長剣を闇が覆い頭━触手の塊━を切り伏せる!
が、切った傍から液体のように触手が繋がり元に戻り強力な触手の一撃がカビビを吹き飛ばした!
「ぐわぁぁ…!」
「レッグバインド!」
執事が操る九つに分かれた鞭がカビビの脚に絡まり衝撃を吸収し空中で引き止めた。
カビビを吹き飛ばした巨大なタコだったが、その背後に疾風のように一つの影が現れ、朝日の中再びその身体を貫いた!!
「黄金龍嘴槍!!(ドラゴンスティング!!)」
不意を突かれた巨蛸の半身がバラバラに引きちぎれるが…、千切れた端から触手がミミズのように集まり再生していく!
頭部らしき塊がグレゴリィを向くと、ぷくっと膨れ、
『テケリリリリリリリリィッ!!!!』
耳をつんざく強烈な音波を発した。
「うわっ…!」
周りにいたカビビ達も余りの音波に耳を抑え倒れ込む!
グレゴリィは“運よく”瓦礫の壁へ滑り込んだが、周囲の瓦礫が超音波を浴びてバババと破裂していく。
「化物め…。」
グレゴリィは耳を塞ぎながら歯噛みした。
いくら吹き飛ばしてもすぐに再生してしまう…。
『テケリリ…ヒトにしてハ頑丈ダナ…テケ…』
触手の一部に厭らしい口が現れ、大僧正の声を発した。
「ふん!」
気合いとともに瓦礫の盾を粉砕し、グレゴリィは姿を現した。
「…“運よく”木がクッションになってくれたのでね。」
『…ドウヤラソのフクも“外なるモノ”のヨウダナ…。』
黄金タイツはニオス家に伝わる、異界の防具なのだ。
ニオス家に与えられた使命を果たす為禁じられた力━僅かながら世の理に干渉し“幸運”を操る━を持つ。
だが…タイツが破れ血が滲む脇腹を見るからに、長くは持ちそうにない。
『…オわりダナ…!!』
魔物の頭部がぷくっと膨れ次の音波が襲い来ることがわかったが、グレゴリィに残された選択肢は少なかった。
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