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「ぷはーっ」
炎が無くなったのを見計らい、下水の中から★SWATが顔を出すと、誤先生が倒れていた。
炎の空気を吸ったのだろう意識がなく呼吸が荒い。
「大変だ…、みんな!あれ、メリル…?」
下水道の中をメリルは身体を引き摺るように進んでいた。
連戦の疲労で意識が飛びそうになるのをかろうじてこらえ、下水の中を進む。
「危なかったナ…マサかあんな方法で倒すとワ…!」
ペーターがぴょこぴょこと跳ねながら前を進む。
「シカシやはりアイツらは切札とナル…面白いナ!」
「“あれ”は一体何なんだ?」
「グラトンじゃーナイね。」
「…評議会に話をしてくる。」
「オイオイ…今からカイ。」
ペーターが呆れ顔でメリルを見やった時、メリルの前に風のように何かが現れた!
「九条蜘蛛縛鞭(アトラクトグラスプ)!」
鞭がまるで蜘蛛の糸のようにメリルの身体を縛りつける!!
「!?」
影の中から染み出るように執事がその姿を現した。
「“闇狩りアルフォンス”カ…!こんな時に…。」
「ククク…ようやくお嬢さんを捕まえられましたな。」
メリルに最早抵抗する力は残されていなかったが…
「よい、やめよ。」
バシャっと水を踏む足音が響き、上半身裸で破れたタイツを纏わせたグレゴリィが姿を現した。
「いや…しかし若、こやつは禁術を盗み“ゆらぎ”を増す極悪人…!」
「よい、と言っている!」
一喝された執事は慌てて膝をつき鞭の束縛を解いた。
「……。」
冷ややかにやり取りを見つめるメリル。
「今は怪我人の助けが先だ。」
「はっ…。」
悔しそうにメリルに一瞥をくれると、執事は向きを変え誤先生達の元へ走った。
グレゴリィはメリルに見向きもせず、すれ違っていく。
「…次はないぞ。」
メリルとペーターもまた、振り返らずに出口を目指した。
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