556人が本棚に入れています
本棚に追加
**********************
「う…ん…。」
胸元で何かがモゾモゾと動いている…。
みのりがようやく重い瞼を開けると、目の前にカビビの喉元が見えた。
自分が今カビビに抱き抱えられていることに気づいたが、同時にカビビが何かに緊張していることも見て取れた。
胸の谷間からは白いハムスターがつぶらな瞳を向けていた。
ハムちゃん…!
声帯がやられたのか声が出せない。
「…うつくしい……。」
頭の上の野太い声に目をやると、月夜の松明に照らされ眩しく輝く全身金色のタイツを着たおかっぱ頭の男が、こちらを見たまま驚きの表情で固まっていた。
傍らには執事らしい枯れ木のような老人が控え、周囲の瓦礫の山には金色の甲冑を着込んだ兵士達が、いずれも驚きの顔でおかっぱ眉毛を見つめていた。
「!?」
金色のタイツが一歩ずつにじり寄ってくる…。濃すぎる眉毛の目がいやらしい!
い、いや…!
みのりは貞操の危機を感じ戦慄した。
まだ身体がショック状態にあり身動きが取れない…!
カビビが慌てて立ちはだかりグレゴリィを止めようとする。
「ま、まて…!みのりさんに触れるな!」
「“若”!?」
痴情に狂ったグレゴリィは制止しようとするカビビの腕をガシッと掴み、飛びかかるハムスターを払いのけ、
「い、いや…!」
ようやく声が出た。
このままではこの変態にどうにかされてしまう…!
誰か、誰か助けて!
金の眉毛が眉毛がああああ!
グレゴリィはガバッと情熱的に抱き寄せると、腰を引き付け顎を掴みむさぼり尽くすように……
カビビの唇に吸い付いた!
「…ええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
みのりも執事も黄金騎士団もハムスターまでもが驚きの声をチュー!と上げた。
**********************
最初のコメントを投稿しよう!