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「離れなさいよこの変態眉毛!!」
「“若”!なんというお戯れを!」
必死にみのりと執事が二人を引き剥がそうとするが、意外にも黄金貴族の鋼のような腕は外れずカビビの唇を蹂躙し続けていたのだが…。
ちゅぽんっと音がして眉毛がカビビを手放した。
満足げに唇をハンカチーフで拭うグレゴリィ。
対象的に膝でくず折れ泣きながら放心状態のカビビ。
「カビビ?カビビ!?ねぇしっかりして?」
「…よごれた…よごれた…よごれた…。」
うわ言のように呟きながら泣き崩れるカビビ。
「“ハニー”。新しい世界の扉を開くときは誰しも怖いものだ。さあ一緒に…」
「いい加減に、しなさあいっ!」
みのりの炎の拳がグレゴリィへ襲いかかるその瞬間!
「ぐぅ!?」
みのりの身体に闇の鞭が絡み付き、息も出来ないほどにきつく拘束していた。
「閣下に手を上げるなど私が、…!?」
みのりを拘束する鞭を操る執事が、背後の異様な気配に戦慄し振り返った。
いつの間にか黄金騎士団が照らしていた周りの松明が全て消え、うっすら明るくなり始めた廃虚の中に只一つの人影だけがあった。
「何奴!」
執事の鞭がみのりを離れ影のように素早く人影へ絡み付いた!
『…コレハコレハ…、ニオスカッカ…!』
絡み付いた鞭など意に介さぬ風で足音も無く人影は進み出て来た。
「やはり…エーリッヒ・ツアン大僧正卿下…!」
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