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大きな白い箱を抱えた彼は、息を切らせながら走っていた。
今日は彼女の退院の日。四週間前、肺炎で入院すると彼女から聞かされた時は正直泣きそうになった。
彼の走るリズムは、息が荒くなると共に上がっていた。余程彼女に早く会いたいのだろうか。
しかし急いで病院に向かいたいところが、大通りは車両の衝突事故で通行止めになっている。車はおろか、徒歩でも通る事が出来ないらしい。
なので彼は、多少遠回りになるのは承知で道の狭い裏路地を走っていた。
人一人でもなかなかな狭さの上、ゴミなどが散乱しているせいで道は通り辛く、彼は落ちていたポリバケツに足を引っ掛け、その場に倒れてしまった。
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