始まり

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月曜日。 あたしは1人でHardに行った。 『いらっしゃい』 カウンターで雑誌を見ながら主任の光が言った。 「こんばんわ」 『おぉ。曖じゃん。どうしたの?』 光は驚いて言った。 『曖じゃん。なんでいるの?翔いないけど』 お調子者で仕事嫌いのイケメン優が言った。 「翔がいないの知ってるよ」 『は?もしかして指名替えかぁ?』 優が楽しそうな笑顔で言った。 「うん。ダメかなぁ?」 泣きそうな顔であたしが光に聞くと 『気にするな。お前が楽しめなきゃ意味ねぇだろ。』 裏から出て来たまさがあたしの頭をクシャクシャにしながら笑顔で言ってくれた。 『そうだよ。曖は何にも気にせず楽しめばいんだよ』 優しい笑顔で光が言ってくれた。 「ありがとう」 『それで?誰にするの?』 急かすように優が聞いてきた。 「薫さん」 俯いてあたしが言うと“なんで?”みないな顔でみんなに見られた。 それが当たり前。 だってあたしが新規のとき薫はいなかった。 店に来てからも1度も喋った事なかった。 だからみんなが“なんで?”って思うのは当たり前だった。 「ダメかな?」 『ダメじゃないけど曖って薫と話したことあったっけ?』 不思議そうな顔で光に聞かれた。 「ない」 『いいの?薫で』 心配そうにまさが言った。 「え?」 『いや。薫がダメとかじゃなくて…話もしたことないのに決めちゃうのは』
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