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「いいの。薫さんに会いたくて来たから」
迷いのないあたしの言葉にみんなは一瞬黙ってそのあと“お前はいい子だ”そう言ってくれた。
席に通されてから胃が痛くなるぐらい緊張していた。
大袈裟かもしれないけど大好きな芸能人に会う感じなみに緊張していた。
『お邪魔します。薫です』
普通ホストは指名が入ったら隣に座るの。
ヘルプに来た人は向かいの席かヘルプ椅子に座るの。
今の薫はヘルプ椅子に何故か座っていた。
『ちょっと待っててね』
なにも話さないうちに薫は席を立って裏へ行ってしまった。
きっと“あたしが誰なのか?”“何故自分が指名されているのか?”わけがわからず誰かに聞きに言ったんだろう。
5分後。
薫はまたヘルプ椅子に座った。
「あのぉ隣座らないんですか?」
あたしが恐る恐る聞くと
『あのさ。指名する奴間違えてないよね?俺全く関わりなかったと思うんだけど』
「薫さんですよね?間違ってないですよ。あたしは薫さんに会いたくて来たんです」
『あのさ。名前聞いていい?』
「曖です。」
『曖ね。わかった。ちゃんと覚えるね。年は?』
「18歳です。」
『じゃぁ2個下か。俺20歳だから』
「あのぉ。そろそろ隣に座りませんか?」
『あぁごめん。なんか座るタイミングがつかめなくてずっとこっちに座ってた。』
薫は笑いながらあたしの隣に座った。
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