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『こんばんわ。今案内させるから待っててね。お~い。翔』
まさが笑顔であたしに挨拶したあと大きな声で翔を呼んだ。
『は~い』
少し低い声で普通の男の人より背の低くて顔の濃い翔が裏から出てきた。
『なおと新規の子席に通してあげて』
『はい。どうぞ』
翔はおしぼりをふたつ持ってあたしとなおを席に案内した。
薄暗いフロアは広く目の前にはでっかいスクリーン。
その中にはジャンヌダルクのプロモが流れていて眩しい程照明があった。
あたしは頭が真っ白で足が動かなくなってしまいフロアの入口で立ちすくんでしまった。
『曖。なにしてんの?早くこっちにおいでよ』
ボーとしているあたしになおが大きな声で呼んだ。
「あっ。ごめんなさい」
『いいえ。おしぼりどうぞ。』
謝るあたしに翔は笑顔でおしぼりを渡してくれた。
「ありがとう。」
『新規の場合2時間2千円。でもハウスボトルと烏龍茶と水以外を飲む場合はプラス料金がかかっちゃうからね』
「あの~ハウスボトルってなんですか?」
『ホスト初めて?ハウスボトルっていうのはね、焼酎なんだけど安いお酒なんだ。鏡月とか純とかはお金がかかっちゃうんだけどハウスボトルは飲み放題なんだよ。』
「へぇ~。じゃぁ曖はビール」
『あたしはウーロン割で』
『了解。じゃぁちょっと待っててね』
翔は席を立って裏へ消えてった。
『曖。もしかして緊張してる?』
なおが笑いながらあたしに聞いてきた。
「緊張しるよ。全然わからないんだよ」
『そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。ホストの方から話してくれるしHardはイケメン揃いだし』
「へ~。そうなんだ」
あたしはまだ知らなかった。
Hardに来たこの日から曖の第2の人生が始まっていたなんて…。
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