桃色の鉛筆

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『家族』   大好きな君の部屋で、大好きな君との時間を過ごす。 私は読書をしていて、その向こうで彼は勉強をしている。   ここにお互いが居る。 何よりもその時間が愛おしい…… 言葉よりも態度よりも君の存在が全て。 いつの間にか当然になったこの距離が、ずっと続くのもいいかもしれない。   「そろそろ、夕飯作ろうか?」   いつものように、私が立ち上がる。 彼は、変わらず勉強に集中しているようだ。   これもいつもの光景。   変わらない。 それでいいと思っていた。   「なぁ、俺たち家族にならないか?」   不意打ちだった。 ぶっきらぼうに、彼は視線を上げることなくそう言った。   気がつくと、私は思わず彼に飛びついていた。   うん。そうだね。 家族になろう。
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