黒の色鉛筆

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『一通のメール』   なぜだろう? 眠れない。 明かりは消し、体も横に耐えている。疲労も溜まっているはずだ。   なぜ……?   何度か自問しながらも、睡魔がくるまでと思いながら小さなディスプレイの向こうにいる友人達と、馬鹿な話で盛り上がる。   騒がしい文章と写メの飛び交う小さな箱の中の自分と、それを見ている妙に冷静な自分がそこに居た。  もう時計は二時を表示している。さすがに人として眠くならないといけない気がしてきた。   今度こそ寝よう。そう意気込み一通り、騒いでいた友人達におやすみの挨拶を打ち込みホームに戻ってきた。   今宵は見ないと思っていた彼の書き込みがある。   どうして……? ほんの短い一文がいつもの彼とは違う雰囲気を、告げていた。 だからメールを打ち込む。   ほんの数言。短い言葉を交わし。 そして、そっと手の中で閉じ充電器に投げる。小さなランプだけがその場を灯した。   静かな空気に包まれ、やっと睡魔が訪れる。   もしかすると、自分はあのメールを彼に送るために起きていたのかもしれない。 そんな馬鹿なことを考えながら、静かに眠りに落ちていった。
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