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(株)コンチェルト… それはGMに存在する業態不明の怪しい団体。 年中無休をうたっているが、ホントのところは開店休業。 今日も朝からケータイでGMをする1日が始まる。 俺の名前はキッシー。 何の因果か半年ほど前にコンチ社に入社した。 業績が怪しくなってきたとの触れ込みで新入社員を公募していたが、面接に来たのは俺ひとり。 たいした試験や面談などもなく、あっさり採用されたが、未だに業務体系が掴みきれないという謎多き会社だ。 その怪しい業績も横ばい。 この不景気を乗り切れるのか、甚だ怪しい。 「みんなおはよ~」 気の抜けた挨拶。 この一言と共に、いつもの朝礼が始まる。 司会はてやさん。 社長不在(これも謎)のなか、社員7名を取り仕切るリーダーを担っている。 不惑を迎えたばかりだが、いかんせん頭皮を晒しすぎる感が隠せない。 そんなのもひっくるめて、我らのてやさんだ。 「え~、今日はみなさんに報告があります。いや、お願いかな」 皆の視線がてやさんに集まる。なんだろ? 部長と課長がやたらそわそわしている。何か知ってるのかな? 部長は年齢にそぐわない腹の出具合から、既にメタボという通り名が染み付いている。 隣に座る課長はてやさんに次ぐ年長。 てやさんと課長からは、不思議なほどの落ち着きを感じる。この二人が焦ったり、バタバタしている様子を俺は見たことが無い。 「えっとね、我々GMに参戦するから」 飲みかけた茶を吹いた。 いやいやいや、マジで意味わかんねえ。 「ということで、おのおの練習に励むように。以上」 「ちょーーー!以上。じゃねっすよ!いきなり何言ってんすか何スラッと言ってんすか!ちょちょちょ、GM参戦?俺らが?マジで言ってんすかそれ!」 すんなり立ち去ろうとするてやさんを俺はとっさに引き止めた。 てやさんは顔色一つ変えずに言う。 「うん。来週、ステージ切り替わりと同時にね。楽しそうだろ」 待ってくれ…。 言葉にならない言葉を他の社員に向ける。 しかし俺の期待とは正反対に、皆どこから取り出したのか、グラブやバットを取り出し、簡単な手入れを始めている。 やる気だ… いや待て、人数足りねえだろ。
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