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練習場所はなぜかコンチ社が所有するグラウンド。
両翼90m、センター120mで試合も充分に出来る。トレーニングルームやレストルームも既に施設レベルMAXだ。なぜこんな立派な施設を有しているのかという事に関しては突っ込んではならない。
というわけで練習を開始する。
皆で話し合い、人数もピッタリなんだし、まずポジションから決めようという運びになった。
「誰か希望ある人、いる?」
てやさんの呼びかけに真っ先に手を挙げる者がいる。
「ピッチャーやります」
彼は猫目。
すらっとした長身だが線はがっしりしている、いかにもスポーツマン。
まあ立候補せずとも、ピッチャーやれるのは彼しかいないだろう。
てやさんもうなずく。反対するものもいないし、まずは適材が適所に就いた。
「自分、捕手します」
控えめに手を挙げたのは大帝。
GMでの成績はコンチェルト随一。猫目とともにコンチの誇るツートップだ。
頭脳明晰の彼なら捕手が一番しっくり来るだろう。
「あと、特攻がショートやるって言ってます」
大帝が隣にいる特攻と呼ばれた男のケツを叩く。
驚いたその男は弾みで一歩前へ踏み出した。
「え?マジで?…ショートやります!」
言わされた感が強いが、まあ適任かもしれない。
猫目、大帝、特攻の3人はまだ18歳の高校生。バイト組だ。その若い衆がバッテリーと内野の要を担うのだから、これは心強い。
みんな積極的で、いいなあ。てやさんも目を細める。
「じゃあオイラがセンターだ」
続いての立候補は助っ人、ベイさん。足には自信があるとのこと。
ベイさんは、てやさんと社外での活動を共にしている間柄らしい。
俺も何度か絡んだ事があるが、非常に感じの良い人で、共に野球が出来るというのはそれだけでちょっとした喜びだ。
あと、ベイさんと一緒にクマさんという、例の活動繋がりで来てもらった人がいる。
クマさんの希望は抑え投手。速い球を投げられるのが自慢らしい。
「クマさん、ご無沙汰してます」
クマさんとも俺は知り合いだ。
以前GMで俺が運営した大会に参加してもらったりなど、他の所でも交流がある。
おう、キッシー君よろしくな。
にこやかに手をあげる。
いいんだ。それはいいんだ。でも…
「…クマさん。クマの着ぐるみはないっしょ…」
ん?そうか?
とクマさんは答える。
でも野球はできるぞ。
そう言いながらベイさんとキャッチボールを始めている。
そういやベイさんもなぜかヤッターマンのコスプレだ。
…抑えでクマが出てくりゃ相手も驚くか…。
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