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そんなこんなで練習を始める。
まあ、予想はしていたが、俺も含めて当然のようにみんな動けない。
そんな中、若い衆3人は一様に動きがいい。
特に猫目は飛びぬけている。
どうやらリアルでもスポーツ万能らしく、イメージとそれが直結している。
投手というポジションもはまっている。
それを受けるのは大帝。
この二人のバッテリーとなると、そう簡単には打たれないのではという錯覚がよぎる。
特攻もその呼び名に相応しく、かなりの反応と瞬発力。
これならショートもいけるんじゃないか。
しかし後が…
「てやさん、ちょっとこれ、やっぱ止めといたほうがいいんじゃないすか」
率直な意見を特命にぶつける。
こんなんじゃフル育成したところで楽天純正にすら敵わない。
いや、岩隈なんか出してこられたらノーヒットノーランは目前だ。
「いいんじゃない。最初はこんなもんでいいさあ」
脇から課長が会話に割り込む。
「データ更新、あるんだろう。しかもウチは特別に、月毎じゃなく、試合毎に見直すって聞いてる。ようするに頑張ったらそれだけ能力に反映されるんだってよ。さあさあ、分かったら練習練習。そんな小さいことでウジウジしてるからメンタルCとかになってんだよ」
えっ、そうなの?!俺のメンタルC?
課長に引きずられて俺はグラウンドへ向かう。
「やってやれないことはない。これは社訓だ。がんばれキッシー」
てやさんはなぜあんな気楽に構えれるのか。
俺には不安しかなかった。
なんでもないゴロを秘書がトンネル。
カバーに入ったレフト課長がセカンドに悪送球。
こぼれ球を部長が追いかけるが、一向に追いつかない…
ぜってー守備終わんないって。
その日から、全社挙げての野球特訓はスタートした。
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