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「おい!君、しっかりしろ!大丈夫か!?」
ドライバーはすぐに駆けて行った。私も動けない程ではなかったので無事を祈り進む。
「ふぅ、死ぬかと思った。」
私が男の子の口のまわりに着いたチョコレート色のクズを発見し、顔を覗いた瞬間だった。その子は目を開き、ゆっくりと頭を起こした。
「痛いところは無い?」
ドライバーが安心した様子で問う。
「うん、なかったよ。めちゃくちゃ飛ばされたからびっくりしちゃったけどね。」
男の子は笑う。
「あの……その口に付いてるカスは……」
急に私の身体全体に熱い何かがのぼる。
「チョコだったよ。とてもおいしかった。……えっと、落ちた時にボールと一緒に吹っ飛んで来たからキャッチしたんだけど、もうすでにバラバラだったから割れてた部分をちょっと貰ったんだけど、もしかして君の?」
男の子はそう言い箱の中のチョコを見せた。確かにバラバラだった。けど、食べてもらえて嬉しくって、涙が次から次へと頬を伝った。
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