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「それが聞いてよおじい! 大和が恋について悩んでるみたいなんだ」
勢いよく体を起こして、胡座を掻きながら叫ぶ祭。
輝一は驚いた顔をして祭に聞き返すが、祭もゆっくり頷く。
その時、奥の部屋から暖簾を潜ってお盆に二つのかき氷を乗せた大和が二人の所に戻ってきた。
「大和、話がある。ちょっと来い」
指導時の様に真剣な顔つきの輝一に、横のテーブルにかき氷を乗せたお盆を置き、固唾を呑む大和。
「とりあえず…………触れ」
「捕まりますよ」
――とりあえずそれぞれの誤解を解いた3人。
大和は祭を怒鳴り付けるが終始笑顔で頷くだけだった。
そんな中、輝一は何かを思い出した様に手を叩く。
「そうじゃ、お前たち天使(アマツカ)神社にいったらどうじゃ?」
「天使神社って、あの意味が分からない伝説がある神社ですか?」
小馬鹿にしたような態度で首を傾げながら返答する大和。
ふと横を見ると、凄まじい勢いでかき氷を口の中に掻き込む祭の姿があった。
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