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祭がこの話に興味がないことを確認したところで、また輝一の方に顔を向き直す。
「意味が分からないとは罰当たりな! 天使様は存在するわい」
猪の様に勢いよく鼻から息を出しながら、胸を張る輝一。
だが苦笑いの大和に対して、神社に行く気満々の人物が一人。
「いいじゃん。暇だし行ってみようぜ、大和」
無論、祭だ。
その時大和の脳裏に本来の目的であるサーフィンのことが浮かんだが、先輩のいつもの気まぐれだと心に言い聞かせて海の家を出る準備をした。
と言っても、手ぶらで来たのだから特に準備といったものはないのだが。
そして二人は輝一に別れを告げて、海の家を出た。
ふと空を見上げると、空は少し茜色を帯びていた。
昼の様な不快な暑さとは違い秋の様な心地よい暑さだったので、心なしか二人の足取りはとても軽快だった。
――海の家を出て、景色は海から一転して茜色に染まった住宅街。
そしてそこから山の方に向かって歩いて数十分、周りの景色が住宅街から田んぼに変わってすぐの所にそれはあった。
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