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「まずい、これは絶対まずい。逃げよう、これは絶対逃げよう」
足を震わせながら何度もそう呟く。
だが、そんな大和の願望とは裏腹に全く先に進もうとしない足。
足を拳で何度も叩くが出てくるのは勇気ではなく大量の汗。
けれども、そうしている間にもどんどん近づいてくる足音。
そして次の瞬間、近くの大木が大和のいる場所向けて軋む様な音を鳴らしながら勢いよく倒れ込む。
「お゛ォォォォォ!」
野太い悲鳴をあげながら、あまりの恐怖に腰を抜かす大和。
だが、丁度右方向に尻餅をついたので間一髪回避に成功した。
もし真後ろに尻餅をついていたら命は無かっただろう。
一安心と胸を撫で下ろす大和。
だがここで、更なる恐怖が大和に降りかかる。
倒れた大木の先に紅い宝石が二つ。
その紅い宝石の下には、深いグレーの膨らみに勢いよく白い気体を噴出する穴が二つ。
そしてその下には、びっしりと並んだ少し黄色がかかった清潔感の無い歯。
ここでやっと気が付く。
「こ、こんにちわ~?」
『ウ゛オ゛ォォォォォ!』
「あ゛ァァァァァァァァァァ!」
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