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気付いた時には軽く見積もって距離約百メートル。
普通にまっすぐこちらに走って来ればほんの数秒。
だが、どうやら向こうはこちらの場所をはっきりと特定出来ていない様だ。
正に不幸中の幸いというやつだ。
だが、のんびりしていられないのもまた事実。
急ぎ、新たな打開策を模索する。
「…………どうしよ」
尋常ではない量の汗が、滝の様に大和の体から噴き出す。
こうしてる間にも徐々に近付く足跡。
普段、勉強もロクにしない大和の頭は焦りからかパンク寸前状態。
「あ゛ーーーー!」
そして限界に到達したのか、頭を激しく掻きながら吠える。
「あ……」
声を発した事に気付き、自分自身に対して唖然とする大和。
そして周りの生物たちも、その声を聞き逃す筈がない。
「ウ゛オ゛ーーーー」
胸を叩いているのだろうか、キングコングは少し弾力性のある音を発しながら雄叫びをあげる。
「どうしよ……どうしよ……」
あたふたしていると、正面から枝や木が折れる凄まじい音が鳴り響く。
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