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「はぁ……」
昼下がりの住宅街。
少年は歩きながら大きなため息をつく。
彼の名は無我 大和(ムガヤマト)。
茶髪に薄い青のタレ目の思春期真っ盛り、高校二年生、十七歳。
そんな大和の落ち込んでいる理由はただひとつ。明日はテストと言う名の地獄が待っているからだ。
因みに大和の成績は下から数えて一桁。
去年は担任のご厚意でなんとか進級できたが、その先生は去年で定年退職。
兎に角とてもヤバイ状況なのだ。
歩きながら小声で呟いてはため息を繰り返す大和。
そして最初のため息から数分、急に背後からただならぬ気配を感じ取った大和は、徐に後ろを向く。
すると後ろから学ランを着た、中学生にも見える少年が手を振りながらこちらに向かって来ていた。
「大和ォ!」
そして、少年と大和の距離が二メートルを切った次の瞬間、少年は大和の懐にドロップキックを食らわせる。
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