神に願いを

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 鈍い音と苦しそうな声と共に、一メートル程後ろに吹き飛ぶ。  だが、まるでいつものことの様に軽くお尻の埃を手で払い、平然と立ち上がる大和。  そしてゆっくりと少年の方に歩み寄る。  そして熱い握手を交わす二人。  端から見れば熱血スポ魂マンガにも見えるこの景色。  だがその本質は全く違うものだった。 「毎度毎度どういうつもりですか? 先輩」  中学生にも見える少年の手を、渾身の力で握り締めながらそう告げる大和。  顔は痙攣しているかの様にひきつっている。  だが少年はそんな大和に反して、涼しげな顔をしている。 「なんつうか……お前の後ろ姿はオレの闘争本能をくすぐるんだよ。蹴ってくださいみたいな感じで」  小さな先輩は、そう言って満面の笑みを浮かべる。  彼の名前は土師 祭(ハジマツリ)  黒髪黒目の高校三年生、十八歳。由緒正しき葬式屋の一人息子で大和も所属するサーフィン部の副部長。  悩みは身長が一メートル六十センチしかないことだ。
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