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「おっ、今日も来たか。少年たち」
大和の声を聞いて海の家から顔を出したのは、グラサンに白い髭を蓄えた初老のお爺さん。
彼の名は輝一(キイチ)。
海の家『暴風雨(ストーム)』の店長で往年のサーファー。
大和たちとは十年来の付き合いで、その頃から二人にサーフィンを教えている。
その甲斐あってか二人は大会でも好成績を残している。
つまり彼は、二人の師匠というわけだ。
「はい、輝一さん。今日もよろしくお願いします!」
礼儀正しく頭を下げる大和に対して、輝一も朗らかに笑いながら手を挙げて返答する。
因みに大和の服装は短パンにアロハシャツ、一度家に帰って着替えて来たのだ。
輝一も同じような服装をしている。
「おォォい、おじいィィ!」
そんな二人とは相対して、ウェットスーツを着た少年にも見える先輩は師匠である輝一に無礼、もとい親しみのある名称を叫びながら太陽によって調理中の鉄板の様に熱された砂浜を、平然と裸足で走って来る。
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