神に願いを

6/15

45人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「何度言ったら分かるんじゃ! ワシのことは師匠、又は大和の様に輝一さんと呼ばんか、ちびガキ! もっとワシを敬え! 尊べ! リスペクトしろ! バカもんが!」  そう言って走ってこちらにやって来た祭を正座させて怒鳴り付ける輝一。  心なしか、祭の表情も強ばっている。  だがそれは、反省によって生まれる表情ではなかった。 「おじい、唾汚い」 「誰のせいじゃ! 誰の!」  祭の言葉に、何かの線が切れたように勢いを増して怒鳴る輝一。  そんな中、横で二人のやり取りを見ていた大和の顔にはまた、ため息が見える。  ――とりあえず海の家の中に入った三人。  普通に椅子に座る大和に対して、二人はだるそうに畳に寝転ぶ。 「で、今日はどうした? 大会が終わって、せっかく夏休みをやったというに」  かき氷ブルーハワイ味を頬張りながら問い掛ける輝一。  そんな輝一を、魚を見つめる猫の様に目を輝かせて凝視する祭に対して輝一は、ため息を一つ就いてヤマトにかき氷を作るようジェスチャーで伝える。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加