そして私は 世界に消えた

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あなたの手が愛しい 優しく撫でてくれるから。 あなたの声が愛しい 胸の奥が温かくなるから。 あなたの全てが愛しい。 こんな私を支えてくれたから。 私の手は、あなたを抱きしめるためにある。 私の声は、あなたの名前を呼ぶためにある。 私の全ては、あなたを愛するためにある わがままで感情的で 自尊心もなくて死にたがり。 そんな私でも、あなたを愛せた事嬉しかった。 涙ももうでてこない あぁ。 きっと、涙さえもあなたのためにあるんだね。 怒ってる時も、傷ついた時も。 傍にいてくれたのは きっと同情なんかじゃなくて わかっていたけど 気付いていたけど 幸せが怖かった。 人に永遠なんてないから いつかは離れる時がくる事が悲しかった。 今一瞬しか考えられなくて 先なんかみえなくて 心に眠る狂気にのまれる。 私の全てはあなたのために。 不幸にしかできなかったけれど せめて あなたから私の記憶が消え失せる前に。 私が私であるうちに 深い眠りに ついてしまおう あなたの手は 彼女を包むため。 あなたの声は 彼女を呼ぶため。 あなたの全ては 彼女のため。 入れ替ってしまった 私の存在 -そして私は世界に消えた- (早く忘れて 私の記憶なんて) (…嘘。忘れないで ここにいた事)
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