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「じゃあ、何処か行きたい場所はないの?」
「行きたい、場所」
夜空を見上げて桃野は考え込み始めた。
月明かりと街灯に照らされた顔が、意外と美形な事に今更気付いてみる。
「そんなに難しく考えなくて良いじゃん。案外世の中ってのは上手く出来てて、行きたいって意志があればサクッと行けちゃうものなのよ」
……なんて、偉そうに言ってる私の家出にはいつも目的がない。
家族が嫌いな訳じゃないし、一緒に遠くまで逃避行する恋人なんかいる訳がないし。
ただ少し家から離れてみたくて、友達の家に泊まってみたり、ネカフェに泊まってみたり…結局朝までぶらつくだけなんだ。
「あのさ、僕、月に行きたい」
で、私が少し真面目な事を考えてる間散々悩んで出した答えは……突拍子もない場所だった。
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