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「日芽ちゃん、本当に行(ゆ)くの?」
「当たり前です!じゃないと孫の名が廃りますからね!聖地巡礼ですよ!」
「では、私が一緒に行っても良くて?」
「勿論ですとも!佳代ちゃんと居た方が、ボクも心強いです。」
「………。日芽、さっきから君は誰と話してるんだ?精神病院に知り合いがいる。紹介状を書いてやろう。」
「ボクは病人ではありません!」
佳代は常人には認知出来ない存在だ。ましてや話すなどはとても……。
佳代を、幽霊を見聞き出来るのは一握りの人種であり、一般に彼らは"霊能力者"と呼ばれている。そんな特別な能力が無いクリスティには佳代の存在は全く分からないのだった。
では、佳代と会話している日芽は霊能力者なのかと言うと、そうではない。日芽の場合はまた特別だ。
例えるならラジオの電池が入っていて"佳代"と言うチャンネルを上手く受信することができ、なおかつ受けた電波を音声として出力できる状態。それが日芽だ。
日芽がラジオならば佳代は空中を漂う電波だろうか。
つまるところ、日芽と佳代の波長がピタリとあってしまったので日芽は佳代が見えるようになってしまったと、そういうことだ。
だから日芽は佳代以外の"ソウイウモノタチ"は見えたりしない。
「ふむ。クリスティ殿には佳代ちゃんが見えませんか……やっぱりと言うかまあ仕方がないですね。」
「カヨ?ああ、脳内友達のことか、可哀想に……。」
「あんなこと言われてますよ、佳代ちゃん。もうあの人呪っちゃって下さい。ボクが許します。」
「症状は極度な妄想・幻覚・幻聴・現実逃避、っと。……出来たぞ。ほーら、紹介状だ!」
「どうやらボクのお話は聞いて頂けないようですねぇ……!
貴方の頭はダイジョブですかー?こンのエセ紳士が!!」
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