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「はじまりは、新潟県警の魚沼さんからきいた話でね。」
「魚沼産?コシヒカリですか?じゅるり。」
「ヨダレを拭け。君は相変わらず卑しいな!」
「なっ、食欲旺盛なだけです!」
「あぁわかったわかった。わかったから話を戻すぞ。」
「ええどーぞ。フン!」
「――なんでもその魚沼さん曰く、本土から30kmほど離れたところにあるゴクモントウに、島民をだまして、島を統治しようとしているやからがいるらしいんだ。
俺たちはそいつのペテンを暴いて犯人を捕まえようって魂胆さ。」
「どうしてボクたちが行くんですか?ちゃんとした警察が行った方が良いと思うんですけど。」
「本土からの連絡船は2週間に1度。しかも元は船方の噂だったもんだから、確証がまだ無い。おまけに今県警は忙しいから、噂に構って捜査している暇は無いんだと。」
「ふーん。警察も頼りになりませんねぇ。」
「全くだ。不甲斐ない。」
「それでそのペテン師は実際に何をしてるんですか?」
「"言った言葉を現実にする"らしいぞ。」
クリスティーは小馬鹿にするように鼻で笑い、日芽は「ほう」と感嘆を漏らした。
顎に手をあてて考える素振りを見せる日芽。佳代は首をかしげたが邪魔すまいと黙っていた。その間もクリスティーの説明は続く。
「その能力で島民を騙して、島の網元や元々島にあった寺の信仰心を弱くさせ自分を信仰するように仕向けているらしい。寄付金やらなんやらで懐を温めようって寸法だろ、どうせ。」
「ふむ。言霊信仰ってやつですね。」
「コトダマシンコー?」
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