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「もっと遊んであげればよかった。もっと散歩に連れて行ってあげればよかった。」
友達はそう嘆いていた。本当にそうだろうか?犬は本当にそれを望んでいたのだろうか?
その犬の一生は鎖に繋がれていた。その鎖から解き放たれて、自由になりたかったかもしれない。朝、犬小屋で発見されるのではなく、飼い主の胸に抱かれ、生涯を終えたかったかもしれない。
私は嫌な奴だ。でも、犬の言葉は解らない。犬の声は届かない。
私のときは?
病院の一室。窓の外には桜が咲き誇っている。子供達と孫達に囲まれる私。尽きることのない、別れと感謝の言葉。
旦那は数年前に先に逝ってしまった。きっと天国で寂しがっている。
「待ちくたびれたでしょ?ごめんね。でもそれも終わり。もうすぐそばに行くわ。これからはずっと一緒だよ。これからもよろしくね。」
そして穏やかな笑顔のまま、一筋の涙を流し、人生の幕を閉じる私。泣きながら別れを惜しむ家族。
「あぁ。私の人生は素敵だった。」
こんな感じになると思っていた…。
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