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ガチャッ
背後で音が聞こえた。俺は振り返る。自動的に閉まったはずのドアが開いていた。
「ゴミが溜まってたから、捨ててきたよ」
そこには美紀が立っていた。いつものケロッとした顔をしている美紀が。
「部屋の玄関開けっ放しで外にでちゃ駄目じゃん。電気もつけっぱなしだったよ?」
美紀が怒った口調で言う。でも、表情は笑っている。いつもの美紀。
「み……みき……」
俺は美紀を抱きしめた。今度は錯覚じゃない。美紀の体。美紀の温もり。
「ごめん……」
俺は思い切り抱きしめた。美紀。
「く……くるしいよ……」
美紀の体。美紀の温もり。美紀の声。
俺はこんなにも美紀を愛している。もう、美紀を泣かさない。
静かに口付けを交わし、三年記念日を祝福した。俺は狭い部屋が好き。
-END-
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