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ぎし!
ベッドが音を立てて軋み、男はベッドに座り布団を少しずらした。
癖のない黒髪は短く、肌は雪のように白い。少年にも少女にも見える中性的な顔立ち、体も成長段階であるためにはたから見れば少年だと勘違いしてしまいそうだ。
少女の名は、「夜月王利(やつきおうり)」。
王利の赤ん坊のように柔らかな肌に男は右手を添え、指先でそれを楽しむように頬を撫で自分の顔をゆっくり近付けた。
「起きて下さい。朝ですよ」
男が王利の耳元でソッと囁いた瞬間、王利は跳ねるようにしてベッドから飛び起きた。
「な、何?!」
王利は囁かれた方の耳を押さえながら、顔を真っ赤にして狼狽える。
そんな王利に男は優しく微笑んだ。
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