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大学入学をして暫くしたら、充は一人暮らしを始めるんじゃないかと思っていた。
だけど家を出る事なく、その事について聞いてみると『親父はいつも帰りが遅いんだ、女二人じゃ危ないだろ?』と言ってくれた。
素直に嬉しかったけど私が思うに…いつも賑やかな東城家、一人暮らしは寂しいのかな?
なんて思ったりした。
礼斗は、ほぼ毎日家に来るし千夜子も大学に入ってからは頻繁に遊びに来ていた。
おかげで、礼斗がせっかく一人暮らしをしているのに毎日家に来るから、私が泊まりに行ったりすることはめったにない。
…少し、残念。
「モモ、アヤからコレ預かってたんだ」
充は私の目の前で何か紙のようなものを、ビラビラと振っている…欝陶しいよ。
「礼斗って…会ったの?」
欝陶しかった紙を奪い取ると
それは、封筒だった。
ちゃんと封がされていて、表には『東城 百花様』と書かれていた。
「そりゃ、会うだろ…」
手紙を私に寄越すのも始めてだけど、なんでこんなに他人行儀なことするんだろう?
「そんなに見つめてても中身は見えないぞ。開ければ?」
不思議に思って、封筒を凝視していたところを充につっこまれた。
確かに見えないけどさ…
丁寧に封を開け、中の便箋を取り出した。枚数は一枚。
少しドキドキ、ワクワクしながら目を通した。
「………………………んん?」
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