社の主

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「お前‥本当に何者だ。」 威嚇の目がだんだんと柔らかくなってくる。もうすっかり忘れた様に外れる首元の手に、首筋を擦りながらロザリオに視線を落とした。 『妾は‥おまえ達と同じ。主をなくした者。』 「でも、お前は神の使役する者じゃない。」 今度はこちらが眉を寄せる番だった。確かに彼等のように神に仕える者でも無ければ、使いっぱしりというわけでもない。 神聖なものとは程遠いものだ。 『‥何だってよいわ。やるのか、やらぬのか。』 「「‥‥」」 しばらく二人で顔を見合わせて、しっかりと頷いた。ほら‥わらわなど神の使役するものになんかなれない。彼等のように神殿を守り続ける忠誠心など持ち合わせやしない。 早々に放り出して、この世界にやってきたのだから。 『妾にはそ奴を排除する力は無い。でも、使役する力はある。』 「‥‥‥‥私達がやる」 「白!」 予想していなかった言葉に兄の方も慌てた様な声を上げる。さっきの攻撃してきたあの力が本物であれば十分に戦略には違いない。 ロザリオの中心でゆらゆらと怪しく光る紫の石。これこそ使役する力、一度この中心に取り込まれた悪神‥つまり鬼や悪よって使役される。 元々は花神の物で、悪趣味なあの女は気持ちの悪い者ばっかり取り込んでるので一度も使った事はない。 『お前‥今更、怖いなどと言うのか?』 「っ、誰もンなことは言ってねぇ‥」 単純な男で本当に良かった。 この手の男は扱いやすくて助かる。
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